Googleで活用されている「10X思考」とは?ポイントと共に解説

2022.03.03
Googleで活用されている「10X思考」とは?ポイントと共に解説

Googleが社員に対して求めている「10X思考」。Googleを世界的テクノロジー企業にまで押し上げたこの思考はどのようなものなのでしょうか。この記事では、10X思考とは何か、10X思考が重要な理由や成功するためのポイントについて解説していきます。

Google式の「10X思考」とは

10X(テンエックス)とは、Googleが実際に社員に求めている思考法です。企業では、前年度より売上を向上させるために10%増の目標を設定するのが一般的です。しかし、Googleでは目標として最初に決めた数値に「0」を1つ足した成果、つまり10倍の成果を目指します。これがGoogle式10X思考です。

 

しかし、10倍の目標を達成するのは並大抵のことではなく、達成できないケースの方が多いでしょう。それでも、10倍の目標を目指してがむしゃらに努力し、結果目標としていた60~70%しか達成できなかったとしても、以前よりも6~7倍の成果が出ていることになるのです。10%増の目標を設定するよりはるかに高い成果が出ているため、目標が達成できなくても十分すぎる成果といえるでしょう。

10X思考が重要な理由

これまでの10倍の成果を目指すGoogle式10X思考。Googleの社員は目標を掲げるとき、「10%増の目標を設定しました」と上司に話すと、上司は「%ではなく倍だったら良い目標ですね」といわれるそうです。ここまで10X思考が重要視される背景にはどのようなものがあるのでしょうか。また、10X 思考を持つことでどのような効果が期待できるのでしょうか。詳しく見ていきましょう。

持続的な改革が求められる

10Xの目標を達成するためには、段階的な改善ではなく持続的な改革が求められます。例えば、10倍の目標を達成するために、今までより1.5倍の残業をしたとします。しかし、それだけではいつまでたっても10Xを達成することはできず、達成できたとしても相当長い時間がかかってしまうでしょう。必然的に、これまでなかった改革を継続的に実施する必要があるのです。

 

現状を少し良くした現実的な目標を立てがちな中で、あえて10Xという非現実的な目標を掲げることは、企業の急速な成長につながるでしょう。実際に、10Xを実施しているGoogleがそれを証明しています。

現状維持で満足しない

10Xの目標を達成するためには、画期的な改革・施策を実施するなど、大きなアクションが必要不可欠です。つまり、現状で満足することなく、試行錯誤へ意識を向ける必要があるといえます。企業は、働いていて特に問題がなければ、現状維持で満足しがちです。目標を立てるとしても現状を少し改善した程度になってしまうことが多いでしょう。

 

しかし、それでは企業の成長につながりません。非現実的な10Xという目標を掲げることで、現状維持で満足せずに企業の成長・発展が期待できます。

集中力を高められる

「がむしゃらに目標達成のために行動していたら、いつの間にか時間が経過していた」という経験を実際に体験したことがある人も多いのではないでしょうか。特に、達成するのが難しい目標に対して、できるだけ近付きたいという気持ちを持つことで、こういった行動につながりやすいです。

 

10Xの目標を掲げると、何のために行動しているかが明確になるため、漠然と行動することがなくなります。また、集中力を高められれば、創造性が膨らんで問題解決能力や学習能力の向上が期待できるという研究データも存在するため、10Xの目標を掲げて集中力を高めるのは非常に重要なのです。

仕事の価値を高められる

10X思考によって仕事の価値を高めることも可能です。例えば、自分が入社したばかりの社員だとします。入社したての頃はできることがほとんどないため、先輩社員について回るばかりで仕事に対する価値を見出すのが難しく、モチベーションの低下につながります。

 

しかし、10X思考を持てば、少しでも目標を達成するために積極的な行動が求められます。ただ先輩について回るだけではなく、先輩の行動を細かくメモに取ってフィードバックに活用できるでしょう。これによって、スピード感のある成長が期待できます。10X思考によって、効率化や生産性向上を考えた行動が求められるのです。

「10X思考」の例

10X思考から生まれた画期的な事例について見ていきましょう。まず1つ目の事例は、インターネット事業を展開するGoogle/Alphabet社の空中ネットワーク構築事業です。事業を始める前は世界人口の約8割が、住んでいる環境が理由でインターネットツールを活用することができていませんでした。

 

この問題を解決するために、複数の気球を成層圏に飛ばし、衛星や地上基地局と連携して空中ネットワークを構築する計画が立てられました。インターネット環境のない全ての地域に設備を設置するより、安価で合理的な方法ですよね。これを考えたのはインターネット環境の整ったGoogle/Alphabet社の社員ですが、10X思考のポイントである「常に新しい視点を持つ」と「常識にとらわれない」が活きている発想といえるでしょう。

 

2つ目の事例は、Googleから分社化したWaymoが目指す完全自動運転車の開発事業です。AI技術を駆使した完全自動運転車を実現することで、安全性の向上と移動にかかる時間的拘束の削減を目的に事業が始まりました。

 

現在、自動運転の研究・開発はさまざまな企業が取り組む課題となっていますが、その中でもWaymoは比較的早い段階で着手し、現在も一歩先を行く研究・開発を続けています。運転という行為は免許があれば誰でも行うことが可能です。しかし、その現状に満足しない10X思考によって生まれた事例といえるでしょう。

「10X思考」で成功するためのポイント


10Xの目標を設定しても、それが成果につながらなければ意味がないでしょう。ここでは、「10X思考」で成功するためのポイントについて解説していきます。

 

  • 短期・中期・長期的な思考を持つ
  • 自分の考えを持ちながらも客観的な視点で判断できる
  • 常識にとらわれない
  • 前向きに行動して失敗を恐れない
  • 常に新しい視点を持つ

 

それぞれのポイントについて詳しく見ていきましょう。

短期・中期・長期的な思考を持つ

10倍の目標を今すぐに達成することは不可能でしょう。そのため、10X思考で成功するためには、半年後、1年後、10年後といったように短期・中期・長期的な思考を持ち、起こりうる出来事について考えて未来を見通すことが重要です。

 

企業で10Xを訴求する場合は、「必ず達成しなければならない」と義務づけてしまうと社員がプレッシャーに感じる可能性があります。義務ではなく、「推奨する思考」という位置づけにして、まずは目標を達成できた未来に目を向けるトレーニングとして導入すると良いでしょう。

自分の考えを持ちながらも客観的な視点で判断できる

自分だけの考えではどうしても思考がかたよってしまい、課題や問題に気付かないケースが多くなりがちです。しかし、これでは10Xを達成するどころか、一般的な10%増の目標を達成するのもギリギリのラインになってしまうでしょう。

 

自分の考えを持ちながら客観的な視点を持つことで、10Xを達成するために必要なことを判断できて、これまで挑戦してこなかった新しい施策や企画に挑戦する機会が生まれるはずです。それらを中長期的に継続していくことで、10Xの目標に徐々に近付けていけるようになるでしょう。

常識にとらわれない

前年度より10%増の目標を設定する場合、これまで取り組んできたことにプラスαする、または業務の効率・生産性向上化を図ることで目標達成の可能性が見出せます。しかし、10倍の目標を達成したいと思ったときにはこれだけでは不十分です。

 

目標を達成するためには、常識にとらわれない考え方をして従来の規則を破っていく必要があります。それには積極的な挑戦心や好奇心を持つことが求められまが、挑戦心や好奇心を持って仕事に取り組んでいれば、これまでとは異なる新しい考えが生まれて新たな可能性につながるでしょう。

前向きに行動して失敗を恐れない

「失敗したくないから確実な手段だけを取る」、「失敗することは恥ずかしいことだ」という考えを持つ人は多いのではないでしょうか。しかし、失敗は成長の機会となり、最終的には成功につながるきっかけになります。

 

社員に対して10X思考を求めているGoogleには「Fail fast(さっさと失敗しろ)」という合言葉があり、失敗した社員をお祝いする文化まで存在するようです。非常に優秀な社員が働いているため、常に完璧をイメージする人は多いですが、Googleが世界的テクノロジー企業にまで成長した背景にはこういったオープンマインドな社風が根付いています。つまり、前向きに行動し失敗を恐れないことが大切なのです。

常に新しい視点を持つ

常に新しい視点を持つことで全体が見通せるようになり、これまで見えていなかった全体像が見えてくるはずです。例えば、顧客からの視点で物事を見るために顧客の生活に焦点をあてると、自社の商品やサービスに対するニーズ把握、新商品やサービスの開発・チューニングに役立つでしょう。

 

競合他社などのライバルの視点になれば、自社がどう見えるかを客観的にとらえられます。どうしても自社の問題や課題から目をそらしてしまいがちですが、常に新しい視点を持つことで、こういった問題にも正面から向き合えるのです。

10Xの実現のために活用される「OKR」

ここまで10Xが重要な理由や成功するポイントについて解説してきましたが、「優秀な人材が集まるGoogleだからできることで、一般企業に勤めている自分にはできないのではないか」と思ってしまう方もいるでしょう。

 

そういった方は、まず10Xよりも取り入れやすいOKRの導入を検討してみてください。OKRは、国内企業でも導入している、または導入を検討している企業がいくつか存在します。OKRとは何か、運用方法などと合わせて見ていきましょう。

OKRとは

OKRはObjectives and Key Resultsの略称であり、日本語に訳すと目標と主要な成果という意味になる目標管理手法です。OKRは目標の60〜70%を目指す指標で、GoogleやFacebookを始めとする世界的テクノロジー企業、メルカリなどの短期間で大きく成長した日本企業でも導入されています。

 

これまでは、企業を成長させるためには、MBO(マネジメント・バイアウト)やKPIマネジメントといった手法がメジャーでした。しかし、国内でのOKR導入成功事例が増えていることから、最近ではベンチャーやスタートアップ企業の多くが導入を検討しているようです。

 

OKR導入のメリットとして、ボトムアップ式のマネジメント手法であることが挙げられます。経営陣などのトップ層に左右されることなく個人で目標を設定し、達成に向けた行動をうながすことで社員のモチベーション維持が期待できます。また、これまで主流だったトップダウン式のマネジメント手法では、企業全体と個人の目標が乖離してしまうケースが多い傾向でした。しかし、OKRは企業全体で目標を共有するので、企業と個人との目標の乖離を防げるのです。結果、企業の目標=社員の目標となるため、統一感のある企業へと成長していけるでしょう。

OKRの運用方法

OKRの運用は、設定、進捗管理、途中経過報告・進捗共有、フィードバックの順で行います。最初に設定したOKRに固執する必要はないので、状況によって最初に設定したOKRを変更するなど、柔軟に対応しましょう。進捗管理や途中経過報告・共有の段階では、OKR運用支援ツールを導入することをおすすめします。ツールを活用すれば、目標に対する達成度の計測などを効率良く分析・共有できるでしょう。最後にフィードバックを行い、次のCKRの設定を行えば運用サイクルがスムーズになります。

まとめ

ここまで、Google式10X思考について重要とされる理由や成功ポイントについて解説しました。現状維持で満足せずに持続的な改革を求めている企業にとって、あえて高い目標を掲げる10X思考はとても重要です。

 

10X目標を掲げることに不安があるという方は、まず10Xに活用できる目標管理手法である「OKR」を導入してみると良いでしょう。これらの手法を取り入れることで、企業の成長につながるため、記事を参考に導入してみてください。

 

企業をより成長させていきたいという方は、下記の資料を参考にしてみてください。

監修者

広瀬好伸
株式会社ビーワンカレッジ 代表取締役社長

プロフィール

京都大学経済学部卒、あずさ監査法⼈にてIPO準備や銀⾏監査に従事。
起業後、公認会計⼠・税理⼠として、上場企業役員、IPO、M&A、企業再⽣、社外CFOなどを通じて600社以上の事業に関わる。

公認会計士、 IPOコンサルタント、社外役員として計4度の上場を経験。
株式会社i-plug社外役員、株式会社NATTY SWANKY社外役員。

成長スピードの早い企業におけるKPIマネジメントやファイナンス、上場準備や上場後の予算管理精度の高度化といった経験を踏まえ、KPIのスペシャリストとして、日本初のKPIマネジメント特化SaaS「Scale Cloud」の開発・提供やコンサルティングに注力。
従来のマネジメント手法を飛躍的に進化させ、企業の事業拡大に貢献中。

講演実績

株式会社セールスフォース・ドットコム、株式会社ストライク、株式会社プロネクサス、株式会社i-plug、株式会社識学、株式会社ZUU、株式会社あしたのチーム、ジャフコグループ株式会社、トビラシステムズ株式会社、株式会社琉球アスティーダスポーツクラブなどの主催セミナー、日本スタートアップ支援協会などの経営者団体、HRカンファレンスなどのカンファレンス、関西フューチャーサミットなどのスタートアップイベントなどにおける講演やピッチも実績多数。

論文

『経営指標とKPI の融合による意思決定と行動の全体最適化』(人工知能学会 知識流通ネットワーク研究会)

特許

「組織の経営指標情報を、経営判断に関する項目に細分化し、項目同士の関連性を見つけて順位付けし、経営に重要な項目を見つけ出せる経営支援システム」(特許第6842627号)

アクセラレーションプログラム

OIH(大阪イノベーションハブ)を拠点として、有限責任監査法人トーマツ大阪事務所が運営するシードアクセラレーションプログラム「OSAP」採択。

取材実績

日本経済新聞、日経産業新聞、フジサンケイビジネスアイ、週刊ダイヤモンド、Startup Times、KANSAI STARTUP NEWSなど。

著書

『飲食店経営成功バイブル 1店舗から多店舗展開 23の失敗事例から学ぶ「お金」の壁の乗り越え方』(合同フォレスト)

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