EBITDAとは|計算方法や評価方法を分かりやすく解説

2022.06.23
EBITDAとは|計算方法や評価方法を分かりやすく解説

EBITDAという言葉をご存じでしょうか。EBITDAは財務分析上の指標の1つで、企業の現状や将来性を推測する上で活用できる指標です。M&Aなどの際にも活用できます。

今回はそんなEBITDAについて、計算方法や評価方法を中心に解説していきます。メリットデメリットなども合わせて解説していくので、EBITDAについて詳しく知りたいという方は、ぜひご覧ください。

EBITDAとは

EBITDAとは、Earnings Before Interest Taxes Depreciation and Amortizationの略で、イービットディーエーもしくはイービットダーと読みます。会社の利益を示す指標の1つで、税引前利益に特別損益・支払利息・減価償却費を足すことによって求められる数値です。

ちなみに、会社の利益を示す指標は他にもいくつかあり、主に下記のような指標がよく用いられます。

  • 売上総利益
  • 営業利益
  • 経常利益
  • 税引前当期純利益
  • 当期純利益

これらは売上から各費用を差し引くことによって求められるもので、各指標の計算方法を示すと下記の通りになります。

  • 売上総利益 = 売上 – 売上原価
  • 営業利益 = 売上総利益 – 販管費
  • 経常利益 = 営業利益 – 営業外費用 + 営業外利益
  • 税引前当期純利益 = 経常利益 – 特別損失 + 特別利益
  • 当期純利益 = 税引前当期純利益 – 税金

1番上の売上総利益が通常(営業外利益や特別利益が莫大でない限り)1番金額としては大きくなるもので、そこからさまざまな金額が差し引かれていきます。EBITDAはこのうち営業利益に似た考え方で、損益計算書から簡単に計算することが可能です。

国によって異なる税率や、負債の大きさによって異なる金利の影響を受けない指標のため、国際的に企業のパフォーマンスを比較する際などによく用いられます。

EBITDAと似た指標との違いは?

次に、EBITDAと似た指標として挙げられる、下記の3つの指標との違いを解説します。

  • EBIT
  • フリー・キャッシュ・フロー
  • 営業利益

順番に見ていきましょう。

EBIT

EBITはEarnings Before Interest and Taxesの略で、利払前・税引前利益を指す指標です。税引前当期純利益に支払利息を加え、受取利息を差し引きます。

企業が借入をしている際は支払利息が発生し、その分利益が減ります。しかし、起業直後などは借入が多く支払利息の影響も多いため、正確に事業の収益性を測ることができません。そういった際に主に活用されるのがEBITです。

EBITの算出に使用される利益には、営業利益の他、経常利益や税引前当期純利益から算出する方法など、数パターンの計算方法が存在します。統一された公式が存在するわけではないため、実際にEBITの数値を確認する際は、どのような利益を基準にして算出されているかに注意を払う必要があります。

EBITとEBITDAは、減価償却費を利益計算に加えるかどうか、という点で異なります。

フリー・キャッシュ・フロー

フリー・キャッシュ・フローは、事業から得られたお金のうち、自由(フリー)に使える現金(キャッシュ)がどれだけあるかを示す指標です。営業キャッシュフローから投資キャッシュフローを差し引くことで求められます。

自由に使えるフリーキャッシュフローが存在して初めて、企業は借入金の返済や株主への配当、事業拡大のための追加投資が可能となるのです。そのため、基本的にはフリーキャッシュフローが多い会社ほど健全な経営状態といえます。

フリーキャッシュフローがマイナスの場合は、自由に使える資金がない状態なので、会社を維持存続していくためには金融機関などから借入をしたり資産を売却したりするなどして、資金調達をする必要があるでしょう。

また、企業によっては積極的な投資をした年はマイナスになることもあります。しかし、それ以降でしっかりプラスに転じていく成長曲線が描けており、そうなる兆しが見えていれば問題はないでしょう。

フリーキャッシュフローについては、「FCF(フリーキャッシュフロー)とは|計算方法や事例を詳しく紹介」の記事でも解説しております。

営業利益

営業利益は「企業の主たる営業活動で稼いだ利益」のことで、売上高から売上原価と販管費(販売費と一般管理費)を差し引くことによって求められます。

ちなみに、販管費に含まれる主な費用は下記の通りです。

  • 販売促進費
  • 広告宣伝費
  • 旅費交通費
  • 通信費
  • 接待交際費

一般管理費には、主に下記の費用が含まれます。

  • 給与(役員報酬含む)
  • 水道光熱費
  • 消耗品費
  • 地代家賃
  • 保険料
  • 租税公課

計算をする際には、これらの費用を参考にしてみてください。

EBITDAの計算方法

EBITDAは、どの項目を使うかによって計算方法が異なります。

  • EBITDA =  営業利益 + 減価償却費
  • EBITDA =  経常利益 + 支払利息 + 減価償却費
  • EBITDA =  税引前当期純利益 + 特別損益 + 支払利息 + 減価償却費
  • EBITDA =  当期純利益 + 法人税等 + 特別損益 + 支払利息 + 減価償却費

1番シンプルに考えると、営業利益に減価償却費を加えたものがEBITDAです。キャッシュアウトしない費用である減価償却費がなかったものとなるため、キャッシュベースでその企業の儲けがいくらなのかを計算できます。

減価償却費とは、複数年にわたって利用するような設備やシステムの費用を、複数年で按分して経費として計上する考え方のことです。

EBITDAの評価方法

EBITDAの計算結果をベースに企業の現状を評価するには、以下の2通りの考え方があります。

EBITDAマージン

1つがEBITDAマージンから考えるものです。こちらはEBITDA / 売上高で求められる指標で、高い数値になるほど収益力が高いということになります。経費を増やさずに売上高を増やす、もしくは売上高を維持したまま経費を削減することによってEBITDAマージンを高められます。

EBITDAマージンはキャッシュフローの比率を見るため、減価償却の大小の影響を受けません。減価償却にはいくつかの方法があり、定率法にするか定額法にするかで利益率が異なります。この計算方法によって利益率が変わってしまう際には、EBITDAを活用するのが良いでしょう。

EV/EBITDA倍率

EV/EBITDA倍率はM&A時に求められる指標です。EVは企業価値を意味する指標なので、EV(企業価値)/ EBITDAで求められます。

ある企業を買収した際に、その買収にかかった費用をその企業の本業から得られる利益で回収するのにどれくらいの期間がかかるかを計算することが可能です。値が低ければ低いほど、短い期間でコストを回収できる、簡単にいえば割安な企業であると判断できます。

一般的に、EV/EBITDA倍率の平均は8~10倍といわれています。

例えば、ある企業の株式時価総額が10億円、有利子負債が1,000万円、現預金が5,000万円、営業利益が9,000万円、減価償却費が1,000万円だったと仮定します。この場合の計算式は下記の通りです。

EV = 10億円 + 1,000万円 – 5,000万円 = 9億6,000万円

EBITDA = 9,000万円 + 1,000万円 = 1億円

EV/EBITDA倍率 = 9億6,000万円 ÷ 1億円 = 9.6

上記の計算式から、この企業を買収した際にかかるコストは9.6年で回収できることが分かります。

ただし、EV/EBITDA倍率は、過去の数値を利用した場合、将来の営業利益は考慮されていません。設備への投資や今後の資金調達に関するリスクも加味されていないという点にも注意が必要です。現在は割安だと判断できたとしても、将来的にも同じ水準で利益が出るかはまだ別の問題となるため、さまざまな要素から判断しましょう。

EBITDAのメリット

次に、EBITDAのメリットを紹介します。EBITDAのメリットは主に下記の3つです。

  • 計算が簡単になりやすい
  • 国際比較をしやすい
  • 中長期的な視点で評価できる

それぞれ見ていきましょう。

計算が簡単になりやすい

1つ目は単純な話ですが、簡単な計算で算出できる指標なので、経営管理上シンプルに良し悪しを判断できます。指標を把握するのに時間や手間がかからないのは、管理する上で大きなメリットといえるでしょう。

国際比較をしやすい

金利水準や税率は国ごとに異なるものです。また、減価償却方法にも定額法や定率法などさまざまあり、どれを採用するかによって計算される利益が変動します。EBITDAは、税金、減価償却費及び支払利息を控除する前の指標であるため、会計基準や会計方針、各国の税率や金利水準の差異の影響を受けません

現代社会ではグローバル化が進んでおり、事業を成長させるためには海外の競合他社との比較が必須といえます。国を跨いで企業の分析・評価を行う際はこのEBITDAを使うのが良いでしょう。

例えば、グローバルに事業を展開している企業が金利水準、税率差、会計基準などの差異要因を排除して、同じ土俵でグループ拠点の評価や海外の競合他社との収益性を比較・分析する際などに用いられます。

中長期的な視点で評価できる

営業利益は、その計算過程で減価償却費が控除されています。そのため、販売実績が同じだったとしても、営業利益は減価償却費の多寡により変化することがあるのです。

EABITDAは減価償却費を控除する前の指標なので、成長期における一時的な多額の設備投資から発生する減価償却費の影響などを排除して、中長期視点からの会社の収益性を評価できます。

また、EBITDAは設備投資額の大きな会社の収益性を評価する場合にも使用される傾向です。設備投資額の大きな会社は、減価償却負担によって赤字となる場合があります。

年度ごとの設備投資額の変動が減価償却費を通じて(営業)利益のブレの要因になることもあるでしょう。

このような影響を排除し、設備投資から得られた成果としての利益が順調に成長しているかどうかを評価するために、EABITDAが用いられます。

EBITDAのデメリット

では逆に、EBITDAのデメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。

まずは、金利負担や減価償却費を加味しない金額で評価するEBITDAでは、設備投資によって経営が圧迫されていても気付くことができません。通常企業は単発的に設備投資を行うわけではなく、継続的に行っていきます。

減価償却を考慮しないEBITDAでは、大規模な設備投資で危機的な経営状況に陥っていたとしても、指標上は健全で安定的な成長をしているように見えてしまうのです。この点を悪用して粉飾決算を行っていた企業も過去にはいたため、著名な投資家であるウォーレンバフェット氏もEBITDAを過信してはいけないと警鐘を鳴らしています。

また、EBITDAは厳密な指標ではない点もデメリットといえるでしょう。計算が簡単であるというメリットの裏返しにもなりますが、正確で緻密な判断をしたいときには不向きな指標ともいえます。

EBITDAの注意点

デメリットとも少し重なりますが、ここからはEBITDAの注意点について説明していきます。EBITDAを指標として活用したい場合には、これらの点に気を付けてください。

正確なキャッシュフローではない

まず、正確なキャッシュフローではないという点に注意が必要です。本来正確なキャッシュフローを計算するためには、在庫や売掛金の増減、それに設備投資などさまざまな項目を考慮しなければいけません。

EBITDAにそれらは含まれないため、正確に企業のキャッシュフローを捕捉できるものではないということを、最初に念頭に入れておきましょう。

マイナス要因を反映できない

減価償却した設備投資などのマイナス要因を反映できないため、大規模な設備投資などEBITDAに加味されない莫大な出費がないかについては注意が必要です。過剰な設備投資をすると、一般的に、売り上げに対する減価償却費の比率が大きくなります。投資が数年後、必ずしも価値を生むとは限らないため、過信しすぎないようにしてください。

まとめ

EBITDAは、計算方法自体はシンプルで取り入れやすい指標です。しかし、シンプルゆえにメリット・デメリットがあるという点に注意しましょう。

正確なキャッシュフローを表す指標ではないため、この数値自体を企業の経営状態の健全度合いを推測する指標として信頼し切るのはあまり良くないですが、国際比較など相対的指標として活用するには有効な指標といえます。適切なタイミングでEBITDAを計算して用いることで、適切な企業価値判断を行えるようにしましょう。

正確なキャッシュフローを判断するための指標について知りたい方は、下記の資料も参考にしてみてください。

監修者

広瀬好伸
株式会社ビーワンカレッジ 代表取締役社長

プロフィール

京都大学経済学部卒、あずさ監査法⼈にてIPO準備や銀⾏監査に従事。
起業後、公認会計⼠・税理⼠として、上場企業役員、IPO、M&A、企業再⽣、社外CFOなどを通じて600社以上の事業に関わる。

公認会計士、 IPOコンサルタント、社外役員として計4度の上場を経験。
株式会社i-plug社外役員、株式会社NATTY SWANKY社外役員。

成長スピードの早い企業におけるKPIマネジメントやファイナンス、上場準備や上場後の予算管理精度の高度化といった経験を踏まえ、KPIのスペシャリストとして、日本初のKPIマネジメント特化SaaS「Scale Cloud」の開発・提供やコンサルティングに注力。
従来のマネジメント手法を飛躍的に進化させ、企業の事業拡大に貢献中。

講演実績

株式会社セールスフォース・ドットコム、株式会社ストライク、株式会社プロネクサス、株式会社i-plug、株式会社識学、株式会社ZUU、株式会社あしたのチーム、ジャフコグループ株式会社、トビラシステムズ株式会社、株式会社琉球アスティーダスポーツクラブなどの主催セミナー、日本スタートアップ支援協会などの経営者団体、HRカンファレンスなどのカンファレンス、関西フューチャーサミットなどのスタートアップイベントなどにおける講演やピッチも実績多数。

論文

『経営指標とKPI の融合による意思決定と行動の全体最適化』(人工知能学会 知識流通ネットワーク研究会)

特許

「組織の経営指標情報を、経営判断に関する項目に細分化し、項目同士の関連性を見つけて順位付けし、経営に重要な項目を見つけ出せる経営支援システム」(特許第6842627号)

アクセラレーションプログラム

OIH(大阪イノベーションハブ)を拠点として、有限責任監査法人トーマツ大阪事務所が運営するシードアクセラレーションプログラム「OSAP」採択。

取材実績

日本経済新聞、日経産業新聞、フジサンケイビジネスアイ、週刊ダイヤモンド、Startup Times、KANSAI STARTUP NEWSなど。

著書

『飲食店経営成功バイブル 1店舗から多店舗展開 23の失敗事例から学ぶ「お金」の壁の乗り越え方』(合同フォレスト)

Twitter