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競合優位性を築くKPI設計とは

2021.03.22
競合優位性を築くKPI設計とは

KPIマネジメントで全体最適な科学的経営を実現

ビジネスの現場においては、営業・マーケティング・経営管理など、部署ごとにデータがバラバラになってしまっていて、部署ごとの部分最適な経営になってしまっているケースをよくみかけます。

最近では、DX(経済産業省の定義:企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。)が広がりつつあります。

しかし、バラバラになっているデータを集めて統合するだけでは、それを扱えるスキルのある社員への依存度(属人性)が高くなり、企業における「変革」が起こりにくいのではないでしょうか?統合したデータが、誰でもわかりやすいように可視化・活用されることで、特定の社員に依存することなく、多くの社員の知恵や経験を集めて全社的にPDCAをまわすことができるので、組織全体で、企業における「変革」が推進され、競合優位性が確立できるはずです。

つまり、経営サイドの財務と、ビジネスサイドのKPIを結び付けることで、全社の財務目標を達成するために必要なKPIとその目標値を逆算で可視化し、その進捗をマネジメントしていくことで科学的経営を可能にします。

 

KPI設計の具体例

具体的に、BtoBビジネスのマーケティング及び営業のプロセスを取り上げて説明します。

Web広告を出して、見込み客のWebサイトへの流入を促し、そこから問い合わせを得て見込み客情報を取得し、商談を経て成約し、売上につながるというプロセスであったとします。

このプロセスを数字とともに可視化すると以下のような図になります。

  1. Webサイトのインプレッションが10,000回あって、
  2. そのうち10%の方がクリックしてくれて、
  3. Webサイトのクリック数、つまり、流入が1,000人いて、
  4. そのうち20%の人が問い合わせしてくれたので、問い合わせ数が200社あった。
  5. その200社に対してアポ取りの連絡をしたところ50%の100社に対して商談設定ができて、
  6. その100社の商談の内20%が受注できたので受注数が20社になった。
  7. 受注数20社の受注単価が48万円になったので売上は960万円になった
  8. 売上の回収が末締めの翌月末入金であれば回収までに1ヶ月かかるので、実際にお金が入ってくるのはその分を除く880万円になる。

 

このようにマーケティング及び営業のプロセスだけでなく、売り上げが計上されるまでの業務プロセス、さらには収支までを可視化(モデル化)できます。

同じ売上でも、8の「回収期間」というKPIの数値(図では1ヶ月)がよければ収支はよくなり、逆に悪ければ収支も悪化します。

このように、ビジネスの流れに沿って、各部署の重要なKPIは何で、それらがどのようにつながっているかを可視化することで、部門横断的にビジネス全体を見ることができます。

 

KPIを個別最適化された視点でみると上記の部分しか見えなくなってしまいます。

マーケティングの担当者はマーケティングの視点(赤枠)だけ、営業の担当者は営業の視点(黄枠)だけ、経営管理部は経営管理の視点(緑枠)だけ、といった個別最適化された経営判断やPDCAから脱して、全体最適な視点で意思決定ができるようになることで科学的経営が可能になります。

ただし、全体最適な視点で、経営判断や組織のPDCAを行うためには、売上に至る業務プロセスの可視化だけでは足りず、このプロセスに沿って、どのような費用が発生するかも可視化する必要があります。

  • インプレッション数が増えても特に費用が増えないが、
  • クリック数が増えればクリック単価(広告単価)をかけた分だけ広告費がかかり、
  • 問合数が増えれば、その問い合わせに対するテレアポを外注しているとすると、
  • 外注単価をかけた分だけ外注費が発生し、
  • 商談数が増えれば、その分営業人員を増やさないといけないので営業費用が増える。

このように、先ほどの売上に至るプロセスに沿って紐づく費用を可視化することで、費用も含むビジネス全体を図式化することができ、費用も踏まえた全体最適な視点で経営判断や組織のPDCAを実行できます。

たとえば、上記図の例でいえば、インプレッション数のように費用が紐づきで増えないものも判明します。

そうすると、「インプレッション数が増えてもそれに応じて費用は増えないのでクリック率というKPIを改善するのが最もコスト・パフォーマンスが高い」というようなことが合理的に判断できるようになります。

その他、たとえば、根性論的に、「営業は足で稼ぐのだ」「どんどん商談していこう」ということを経営判断し組織的に実行すれば、営業費用がどんどん増えてしまうということになりかねませんが、それよりも、「受注確率の高そうなところをある程度選定して商談していくことで効率的に受注率を高めていこう」というほうが生産性は高いといったことが理解しやすくなります。

 

まとめ

以上をまとめると下記の図のようになります。

 

 

 

  • 売上のプロセスと構造がどうなっているのか、
  • それに紐付いてどんな費用が発生するのか、
  • それらの結果、事業全体の損益とどのように結びついて、
  • さらに、収支を改善するためにはどうすればいいのか

というように、ビジネスプロセスの全体を可視化することで、事業横断的な視点で、いまどこに問題があるのかが一目瞭然になるので、どのように対処すればいいのかの意思決定もしやすくなります。

また、それらを組織全体で共通認識が持ちやすくなるため、組織が一眼となってPDCAを実行しやすくなるでしょう。

 今回はKPI設計をわかりやすくするためにフロー図で説明しましたが、実務的にはツリー図で設計するほうがもれなくダブりなくMECEにKPIを洗い出して設計しやすくなります。