カスタマーヘルススコアとは|メリットや導入する流れをまとめて解説

2022.02.14
カスタマーヘルススコアとは|メリットや導入する流れをまとめて解説

「カスタマーヘルススコア」という単語を皆さんは聞いたことがあるでしょうか。この言葉は、SaaSビジネスを中心としたサブスクリプション型ビジネスが注目を浴び始めるとともに広まったカスタマーサクセスにおいて用いられる指標の1つです。

 

しかし、カスタマーヘルススコアといわれても、何を意味しているのか分からない方も多いのではないでしょうか。

 

本稿では、カスタマーヘルススコアについて「よく知らない」、「初めて聞いた」という方に向けて、そもそもカスタマーヘルススコアとは何かについて説明したうえで、導入のメリットや手順について幅広く解説します。

カスタマーヘルススコアとは

そもそも、カスタマーヘルススコアとは何なのでしょうか。これは「顧客が自社のプロダクトの利用を継続するかを測定する指標」です。

 

カスタマーヘルススコアは、顧客をサポートして顧客にとってのサービス価値を高める役割であるカスタマーサクセスにおいて活用される指標で、サブスク型のビジネスにおいては顧客へのアクションを決める指標として近年注目を浴びています。

 

この指標を利用するためには、顧客のサービス利用状況の健全性を示すヘルススコアを計算する必要があります。

カスタマーサクセス

カスタマーヘルススコアを利用するカスタマーサクセスは、直訳すると「顧客の成功」を意味しています。顧客がサービスを利用するにあたって、顧客がそのサービスを通じて得られる成功や成長を増幅するサポートを行います。

 

一見、カスタマーサポートと同じであるように感じますが、その違いは顧客への働きかけが「能動的」か「受動的」かという点にあります。

 

カスタマーサポートは、顧客がサービスを利用するにあたって感じた疑問や不満に対して、「受動的」にサポートする役割です。

 

それに対して、カスタマーサクセスは顧客がそのサービスを通じて成長・成功するために企業側から「能動的」に働きかけます。この違いは混同しやすいため注意しましょう。

 

ヘルススコア

ヘルススコアは、「顧客にサービスを継続的に利用してもらえるか」を表す指標です。「サービス利用の健全性」という意味で、ヘルススコアといわれています。

 

このヘルススコアは、カスタマーサクセスが顧客に対し必要なサポートを提供するための材料となります。そもそも顧客にサポートが必要なのか、どのようなサポートが必要なのかを見極めて的確なアクションをとるためには、この指標は欠かせないといえるでしょう。

カスタマーヘルススコアのメリット

このカスタマーヘルススコアを計測することで、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。

 

そのメリットとして、大きく以下の3つが挙げられます。

 

  • カスタマーサクセスの活動を最適化できる
  • チャーンレートの改善につながる
  • アップセル/クロスセルが成功しやすくなる

 

これらのメリットを正しく理解することで、カスタマーヘルススコアの価値を最大化することができるため、これらを理解することは非常に重要です。

 

さっそくこれらのメリットについて一つずつ見ていきましょう。

カスタマーサクセスの活動を最適化できる

カスタマーヘルススコアの1つ目のメリットとして、カスタマーサクセスの最適化が挙げられます。

 

先ほども解説した通り、カスタマーサクセスは、顧客に能動的に働きかけることで顧客の成長・成功につなげる役割です。そのためには、顧客の利用状況から行動心理を見極めることが必要です。

 

そこで役立つのが、カスタマーヘルススコアです。カスタマーヘルススコアの数値によって、顧客の関心度やサービスの活用度を把握することができ、顧客がどのようなサポートを必要としているのか見極め顧客に対するアクションを決定しやすくなります。

チャーンレートの改善につながる

カスタマーヘルススコア活用の2つ目のメリットとして、チャーンレートの改善が挙げられます。

 

チャーンレートとは、顧客が一定期間にサービスを解約する割合を指します。チャーンレートの低減は、サブスク型のビジネスを行う企業にとって重要な課題の一つであり、チャーンレートの改善が安定した収益の獲得につながるのです。

 

カスタマーヘルススコアを活用することで、顧客に対して価値のあるアクションをかけられて、顧客の満足度を高められます。顧客満足度の増加によってチャーンレートを下げて、安定した収益を確保することが可能になります。

アップセル/クロスセルが成功しやすくなる

アップセル・クロスセルは、どちらも既存顧客からの収益を拡大するための方法として広く利用されています。

 

アップセルとは、既存の顧客により高度な機能を持った上位のサービスへ乗り換えてもらう方法です。複数のプランを用意しているサービスで、より高額なプランへ移行してもらうことを指します。

 

それに対して、クロスセルは既存顧客に対し追加で他のサービスを契約してもらうことです。通常のプランに加えて別のサービスも契約してもらう、オプションを追加してもらうなどが例として挙げられます。

 

カスタマーヘルススコアを用いることで、関心度の高い顧客を見つけられて、アップセル・クロスセルの提案が成功しやすくなるのです。

カスタマーヘルススコアの指標

このように、さまざまなメリットのあるカスタマーヘルススコアですが、一体どのように算出するのでしょうか。これは、いくつかのスコアを用いて総合的に判断します。

 

カスタマーヘルススコアの指標としてよく使われるものとして、以下の5つが挙げられます。

 

  • NPS(ネットプロモータースコア)
  • ログイン数・ログイン人数
  • ライセンス数
  • イベント参加数・ウェビナー参加数
  • メルマガ開封率

 

これらの指標について一つずつ見てみましょう。

NPS(ネットプロモータースコア)

NPSは顧客ロイヤリティを測る指標で、顧客の今まで用いられていた顧客満足度に並ぶ重要な指標です。商品やサービスを友人・知人に勧めるかという問いに11段階で解答してもらうことによって測定します。

 

NPSは、9〜10を推奨者、7〜8を中立者、0〜6を批判者と11段階に設定し、この推奨者が占める割合が重要な数値となるのです。

 

NPSは売上と高い相関を持っているため、カスタマーヘルススコアを算定する際に用いられる指標として適した指標です。

ログイン数・ログイン人数

カスタマーヘルススコアを図る指標として、サービスへのログイン数やログイン人数を用いることもあります。

 

サービスを利用している企業や個人がどれだけそのサービスにログインしているかを計測することで、顧客のサービス活用度を測ることが可能です。

 

毎日利用するはずのサービスでログイン回数が3日に1回程度であれば、これはサービスを活用できていないと判断できます。また、これを用いてアクティブユーザー率を導き出すこともできるため、顧客の活用度を測る有効な指標といえるでしょう。

ライセンス数

ライセンス数は、同一の組織契約にユーザーを登録するために購入する数を指します。

 

会社単位でサービスを導入する場合は、契約者がライセンスを購入します。この購入されるライセンス数からサービスの利用度を測り、利用度が高い顧客にはアップセル提案を行って既存顧客からの収益拡大を目指すなどの判断ができます。

イベント参加数・ウェビナー参加数

イベント参加数・ウェビナー参加数は文字通り、サービスを提供している企業の開催しているイベントやWEBセミナーに参加している回数です。

 

この回数が高いほど、サービスへの興味関心度が高いことを示します。回数が少ない企業は、サービスへ関心を持ってもらえるようにアクションを起こしてみましょう。

メルマガ開封率

メルマガ開封数は、イベント参加回数と同様にサービスへの関心度合いを示す指標になります。

 

そのため、メルマガ開封率が低い企業では、サービスへの関心度が低下している可能性が高い傾向です。メルマガを開封してもらえるようなアクションを検討するなど、対策を考えて実行してみましょう。

カスタマーヘルススコアを導入する流れ

カスタマーヘルススコアは、さまざまな指標を総合的に用いて顧客へのアプローチに活用できます。これを導入するには、どのような流れで行う必要があるのでしょうか。

 

具体的には、以下の手順を踏んでカスタマーヘルススコアを導入します。

 

  • 顧客の健康な状態を定義する
  • 測定できるデータを基に指標を定める
  • ヘルススコアの算出方法を決める
  • 施策を実行する
  • 定期的に確認しながら改善する

 

これらの手順について1つずつ説明していくので、見ていきましょう。

顧客の健康な状態を定義する

カスタマーヘルススコア導入の第一歩として、「顧客の健康な状態」を定義することが挙げられます。これは、「健全なサービス利用」とはどのような状態であるかを定義することで、カスタマーサクセスのゴールや目標として用います。

 

「〜回以上ログインしている」、「〜回以上イベントに参加している」など、顧客の興味関心度合いを測るには指標がなければ測定はできません。これらのための大まかな枠組みであるカスタマーヘルスの定義を決めるのが、カスタマーヘルススコア導入の第一ステップです。

測定できるデータを基に指標を定める

顧客の健康を定義した後は、実際にそれを測るための指標を定めます。これがなければ、顧客の健康状態やゴールを定量的に判断することはできません。

 

このカスタマーヘルススコア測定のカギとなる指標の選定をする際は、まずどのような指標が測定可能なのかを洗い出します。

 

その上で、どの指標が解約と相関関係があるのかを、サービスの内容や特徴を踏まえて考え、重要度の高さなどから整理して、いくつかの要素を選択しましょう。

ヘルススコアの算出方法を決める

ヘルススコアを測定する指標を定めた後は、いよいよヘルススコアの算出を行います。ヘルススコアは、企業によって選択する指標やそれぞれの重要度が異なるため、算出方式は企業によって異なります。

 

例えば、平均して週のログイン回数が1回以下の人を0点、1〜3回の人を1点、それ以上の人を2点とした場合は、その数値で計算し、点数ごとに分類します。

 

このように、点数をつけることで企業は顧客の状況を明確に把握してアクションに移せます

施策を実行する

カスタマーヘルススコアを算出した次のステップとして、顧客に対するアクションを決定し施策の実行に移ります。

 

顧客に対するアクションは、顧客のヘルススコアごとに適した施策を考えます。カスタマーヘルススコアの高い顧客には、訪問など質の高さを重視したアクションを取り、さらにサービスへの関心を高めてもらうのが良いでしょう。逆にスコアが低い顧客には、FAQなどの量を重視したアプローチを行うなど、スコアに応じたアプローチを行います。

 

このように、カスタマーヘルススコアを基にした施策を実行することで、顧客に効率良くアプローチを行うことが可能です。

 

定期的に確認しながら改善する

サービスや顧客の変化に伴い、「顧客の健康状態についての定義」も変化していきます。また、最初の定義や利用した指標が誤っており、施策が成功しない可能性もあります。

 

そのため、ヘルススコアの定義や指標のスコアリング方法は定期的にチェック、改善することが重要です。

 

既存のヘルススコア計測とそれによる施策は成功しているのか、環境は変化していないかなどをチェックし、改善をする。そして、要素決定やスコアリングを行い新たな施策を決定する。

 

このPDCAを回していくことで、カスタマーヘルススコアが価値のあるものとして活躍します。

まとめ

カスタマーヘルススコアは顧客の健康状態を指す言葉で、顧客が健全にそのサービスを利用し有効活用できているのかを示す指標です。これは、顧客に対して能動的にアクションを起こす、カスタマーサクセスにおいて用いられる指標です。

 

カスタマーヘルススコアを利用することで、顧客の関心度に合わせた適切なアプローチ施策を行うことができるなどのメリットがあります。

 

カスタマーサクセスに用いる指標は、サービスの種類や顧客タイプによって異なりますが、ログイン数などのいくつかの指標を用います。そして、それらの重要度からスコアリングを行い、それに応じたアクションを行います。

 

さらに、ヘルススコアの指標を定期的にチェック・改善することで、有効に指標を活用することが可能です。

 

カスタマーサクセスにおいて重要度が増しているカスタマーヘルススコアについてさらに知りたい方は、下記の資料をご参照ください。

 

監修者

広瀬好伸
株式会社ビーワンカレッジ 代表取締役社長

プロフィール

京都大学経済学部卒、あずさ監査法⼈にてIPO準備や銀⾏監査に従事。
起業後、公認会計⼠・税理⼠として、上場企業役員、IPO、M&A、企業再⽣、社外CFOなどを通じて600社以上の事業に関わる。

公認会計士、 IPOコンサルタント、社外役員として計4度の上場を経験。
株式会社i-plug社外役員、株式会社NATTY SWANKY社外役員。

成長スピードの早い企業におけるKPIマネジメントやファイナンス、上場準備や上場後の予算管理精度の高度化といった経験を踏まえ、KPIのスペシャリストとして、日本初のKPIマネジメント特化SaaS「Scale Cloud」の開発・提供やコンサルティングに注力。
従来のマネジメント手法を飛躍的に進化させ、企業の事業拡大に貢献中。

講演実績

株式会社セールスフォース・ドットコム、株式会社ストライク、株式会社プロネクサス、株式会社i-plug、株式会社識学、株式会社ZUU、株式会社あしたのチーム、ジャフコグループ株式会社、トビラシステムズ株式会社、株式会社琉球アスティーダスポーツクラブなどの主催セミナー、日本スタートアップ支援協会などの経営者団体、HRカンファレンスなどのカンファレンス、関西フューチャーサミットなどのスタートアップイベントなどにおける講演やピッチも実績多数。

論文

『経営指標とKPI の融合による意思決定と行動の全体最適化』(人工知能学会 知識流通ネットワーク研究会)

特許

「組織の経営指標情報を、経営判断に関する項目に細分化し、項目同士の関連性を見つけて順位付けし、経営に重要な項目を見つけ出せる経営支援システム」(特許第6842627号)

アクセラレーションプログラム

OIH(大阪イノベーションハブ)を拠点として、有限責任監査法人トーマツ大阪事務所が運営するシードアクセラレーションプログラム「OSAP」採択。

取材実績

日本経済新聞、日経産業新聞、フジサンケイビジネスアイ、週刊ダイヤモンド、Startup Times、KANSAI STARTUP NEWSなど。

著書

『飲食店経営成功バイブル 1店舗から多店舗展開 23の失敗事例から学ぶ「お金」の壁の乗り越え方』(合同フォレスト)

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