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Googleも導入しているOKRとは|Google式のOKRを解説

2021.11.07
Googleも導入しているOKRとは|Google式のOKRを解説

近年では、リモートワークを始めとしたさまざまな新しい働き方が浸透しています。その中で、ビジネスを効率的に発展させていくために特に重要とされるのが、企業としての目標や、プロジェクトやチーム単位での目標を設定するOKRです。

この記事では、Googleも導入しているOKRとは何か、Google式のOKRの考え方、OKRを導入するメリットなどを解説していきます。

Googleが行っているOKRに興味がある、OKRの導入を考えているという方は、ぜひ参考にしてみてください。

Googleも導入しているOKRとは

Googleが導入していることでも有名なOKRとは、そもそもどのようなものなのでしょうか。ここでは、OKRとは何かについて詳しく解説していきます。

OKR

OKRとは、「Objectives and Key Result」の頭文字をとったもので、高い目標を達成するための目的管理フレームワークです。目標設定や管理の方法としてはKGIやKPIなどが有名でしたが、近年では新たにOKRが注目されるようになりました。

一般的に、KPIはチームや部署ごとなどの比較的狭い部門で設定されますが、OKRは企業全体で共有されるため、目標を共有する範囲が広いのが特徴的です。そのため、設定される目標も高い傾向があり、目標の60~70%を達成できるように設定する企業が多くなっています。

O: Objectives

「Objectives」は目標を意味しており、文字通り企業が達成すべき目標を設定します。

より大きくチャレンジングな目標を設定することによって、社員の自発的な挑戦をうながす効果が期待できるだけでなく、組織全体の業務改善や作業効率のUP、生産性の向上など、さまざまなメリットが享受できる可能性が高いでしょう。

また、企業で高い目標を設定して社員と共有すれば、企業と社員が同じ目標に向かって進めます。社員同士で部署を超えて連携しながら目標達成に向けて行動していけば社内統制の強化につながり、チームのモチベーション向上などの効果も見込めるでしょう。

KR: Key Results

「Key Results」は主要な成果という意味です。目標(Objectives)は定量的な数値である必要はありませんが、主要な成果(KR)は目標にたどり着くまでの指標なので、具体的な数値で設定しなければいけません。

一つの目標に対して複数のKRを設定すれば、KRをこなしていくことで目標までの進捗状態が見えやすくなり、目標達成度の管理が容易です。

KRを設定すると、社員がやるべきタスクも明確化され、より計画的に業務に打ち込めます。

GoogleがOKRを導入した理由

OKRは、インテルの元CEOである、アンディー・グローブ氏によって考案されました。その彼からOKRを学んだのが、Googleの創業当初からGoogleに出資していた投資家の一人であり、現在はGoogleの取締役でもあるジョン・ドーア氏です。

ドーア氏がインテルに入社した頃、インテルはメモリーメーカーからマイクロプロセッサーメーカーへの転換を図ろうとしている最中でした。グローブ氏と経営陣は、この方向転換をよりスムーズに行うために、社員に対して重要度の高い業務に専念してもらう方法を模索します。

そこで考案したのがOKRです。OKRをインテル社内で設定したところ、業務やタスクの優先順位が明確になっただけでなく、社員とインテルの間で共通の目標を認識できるようになりました。今では、マイクロプロセッサーといえばインテルと呼ばれるほどに有名な企業になっています。

このインテルでの経験をもとに、ドーア氏は2000年初め頃にGoogle社にOKRを導入しました。Google社では1年単位と四半期単位でOKRを設定しており、全社と対象としたミーティングを四半期に一度開き、OKRの目標と達成の公開を今でも行っています。

OKRの導入が、Googleの企業としての成長に貢献したといえるでしょう。

Google式「OKRの考え方」

Google社では、OKRについてどのように考えられているのでしょうか。ここでは、大きく3つのトピックに分けて、Google式のOKRの考え方について詳しく紹介していきます。

ストレッチゴールの設定

Google社では、ストレッチゴールと呼ばれる目標が設定されています。ストレッチゴールとは、自身が達成不可能と考えるような高い目標のことです。

「不可能とされる目標を設定すると失敗するのではないか」、「達成不可能と分かっている目標を掲げることによって、逆に社員のやる気を削いでしまうのではないか」と考える方もいるでしょう。

しかし、ストレッチゴールは100%達成することを目標としているのではなく、ストレッチゴールの70%を達成すれば成功とされる目標を設定しています。

目標を達成できなかったとしても、目標に向かって取り組んで得た知識やスキルは今後のGoogle社の発展にとって大きな影響を与えるでしょう。長い時間をかけてコツコツと目標に向かって取り組んできたからこそ、今のGoogle社の活躍があるのです。

Key Resultのスコアリング

OKRはあくまでも企業の目標であるため、より高い目標を設定し社員を鼓舞する役割を持っています。そのため、OKRは人事評価と結び付けないようにしなければいけません。

なぜなら、OKRをそのまま人事評価に反映すると達成可能な目標が設定されてしまい、保守的な人材のみが集まってしまう可能性があります。OKRはそのまま人事評価に反映させるのではなく、KRに着目してスコアリングすることによって、より公平で公正な評価を下せるようになるのです。

Google社では、KRの達成度を0~1.0で表現しています。基本的に一つのOに対して3つのKRを設定しており、その達成度の平均値がOKRの達成度という設定方法です。KRには「~までにこの製品をリリースする」といった行動をベースにしたものや、「契約数を前月より10件増やす」などの価値をベースとしたものが設定されます。そのため、数値化しやすく管理がしやすいのが特徴です。

ウィンセッション

ウィンセッションとは通常、1週間の終わりに開催される社員の進捗をお互いに確認して褒め合う会という意味です。

ウィンセッションを行うことによって、チームや部署を超えた社員全体のタスクの進捗状況を確認できるのはもちろん、想定通りのスケジュールで進まなかった社員を励まし、モチベーションを維持する効果もあります。

OKRの場合には、Oを100%達成するのは不可能に近いため、人によっては悩んでしまう方や思ったように作業が進まなかったことを後ろめたく感じる方もいるでしょう。

しかし、ウィンセッションを行って、できなかったタスクよりもできたタスクを褒め合えば、できなかったことへの不安や後ろめたさを感じる心配が少なくなります。

また、好きなドリンクや軽食などを持ち寄ってウィンセッションを行う企業も多い傾向です。ウィンセッションへの参加が楽しくなれば、社内のコミュニケーションが活発になるというメリットも期待できます。

OKRを導入するメリット

OKRを導入しようと思っていても、Googleのような大きな会社でなければあまりメリットは得られないのではないかと不安な方もいるでしょう。ここでは、企業がOKRを設定すると、どのようなメリットが得られるのかを解説していきます。

OKRを導入するメリットは、主に以下の3つです。

  • 企業としての目標を設定して社員同士で協力できる
  • 社員間のコミュニケーションの活性化
  • タスクが明確になる

メリットを一つずつ解説していくので、OKRの導入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

企業としての目標を設定して社員同士で協力できる

OKRを導入することで企業としての目標が明確になって、社員一丸となって目標達成のために協力できます。

現在は、働き方改革やリモートワークの推奨などによって、従来の社員全員が一つのオフィスに集まって業務をするスタイルが少なくなってきている企業も多いでしょう。そういった場合に、社員同士での目標の共有が難しくなる、社員の仕事に対するモチベーションが低下するなどのデメリットが考えられます。

しかし、OKRを設定して共有すれば、進むべき目標が明確になり、社員のモチベーション低下を防ぐ効果が期待できるでしょう。OKRを導入することによって、こうした業務の弊害を少しでもなくし、社員一丸となって協力する体制を整えられます。

社員間のコミュニケーションの活性化

OKRでは、目標を共有して社員同士で協力できるだけでなく、社員同士のコミュニケーションの活発化も期待できます。

先ほどのGoogle社の例で紹介したウィンセッションを行うことによって、目標に対して社員全体が協力して取り組むための日々の報告、連絡、相談の報連相がより活発になるでしょう。

特に、リモートワークなどを導入した企業の場合、進捗の確認やコミュニケーションの方法などで悩んでいる企業も多くあります。OKRを導入すれば、社員同士での進捗の確認、業務に関しての相談など、積極的にコミュニケーションをとる機会が増えるでしょう。その結果、コミュニケーションの活性化につながります。

タスクが明確になる

OKRを導入すると、目標を達成するためのタスクが明確になるというメリットがあります。

タスクが明確になることによって、スケジュール管理や進捗管理が行いやすくなるため、社員それぞれに対して役割を振り分けやすいです。

スケジュール管理と進捗管理をしっかりと行えば、何かトラブルが発生してしまった場合も迅速に人員をアサインする、納期が遅れる旨をクライアントに相談するなど対処がしやすくなります。

タスクが明確になってスケジュール管理や進捗管理がしやすくなれば、社員もやるべき業務に集中できて、社内の業務改善につながるでしょう。

Google式「OKR導入の注意点」

OKRの導入で失敗しないためには、どんなところに注意すれば良いのでしょうか。ここからは、Google式OKRを導入する際の注意点について7つ紹介していきます。

  • OKR導入にはOKRとは何か?の浸透が重要
  • 目標と成果指標はそれぞれ3~5個に絞る
  • 現状維持的なOKRはNG
  • 目標に対する成果指標の設定が重要
  • OKRの達成率は60~70%が目安
  • OKRを実績を評価するためのツールと考えない
  • 組織のOKR評価は可能な限り公開する

OKRを導入する際には、事前に注意点を確認しておくようにしてください。

OKR導入にはOKRとは何か?の浸透が重要

まず大切なのは、社内にOKRとは何かをしっかりと浸透させることです。なぜOKRを導入するのか、OKRを導入するとどういったメリットがあるのか、そもそもOKRとは何なのかなど、社員によってそれぞれ疑問や不安点などがあるでしょう。

「社長や経営陣がOKRを導入するといったから導入する」というような、社員が受け身の体制では、OKRの導入自体が目的となってしまいます、そうすると、その後の管理などがしっかりとされず、導入した効果を最大限に得られない可能性も考えられるでしょう。

まずは、OKRを浸透させる、メリットをしっかりと社内で共有する、というところから始めてみてください。

目標と成果指標はそれぞれ3~5個に絞る

OKRで目標を多く設定しすぎると、社員にとって負担が大きくなってしまいます。そのため、目標を設定する際には、まず大きな目標(O)を3つ程度設定する、その目標に応じて成果指標(KR)をそれぞれ3つ程度設定する、というようにしてください。

現状維持的なOKRはNG

OKRを設定する際には、現状維持のための目標を設定しないようにしましょう。「前年の成約率を下回らないようにする」、「去年と同額の利益をキープする」といった目標を仮に設定したとしても、今までと業務内容に大きな変化は生まれません。

タスクが明確になることによる業務改善や品質向上などの、OKR導入によるメリットを最大限生かすためには、現状維持ではなくより野心的で挑戦的な目標を設定するようにしてください。

目標に対する成果指標の設定が重要

OKRでは、しっかりとした成果指標(KR)を設定することによって進捗状況を数値で明確に把握できて、プロジェクトの状態の可視化が可能です。

大きく野心的で挑戦的な目標(O)を設定するのももちろん重要ですが、それだけでは目標を達成できません。そこに至るまでに必要なタスクを成果指標でフロー化していないと、予想外のトラブルによって失敗してしまったり、進捗状況の確認がスムーズに進まず遅れに気が付かないといったリスクが考えられます。

OKRの導入では、成果指標の設定を丁寧に行うようにしましょう。

OKRの達成率は60~70%が目安

OKRの達成率の目安は、60~70%とされています。高い目標を100%達成しなければいけないという意識でいると、たどり着かなかった場合に社員にとって重荷になってしまう可能性があります。OKRの目標は100%の達成が目的ではないことをしっかりと理解して、社員にも共有するようにしましょう。

また、野心的で挑戦的な目標を設定することは、社員のモチベーション向上やコミュニケーション活性化などのメリットをもたらしますが、達成率の設定を誤ってしまうと反対に社員のモチベーションが下がってしまったり業務に対するストレスを与えてしまうかもしれません。OKRの達成率の目安を把握して、適切な目標を設定するようにしてください。

OKRを実績を評価するためのツールと考えない

OKRは、人事評価や実績の評価をするためのものではありません。

先ほども触れましたが、実績を評価するためのツールと考えてしまうと、達成できる目標ばかりを設定されるようになって現状維持になったり、達成可能な簡単な目標ばかり設定されてしまったりする可能性があります。

OKRは、実績の評価と結び付けないように注意してください。

組織のOKR評価は可能な限り公開する

Googleでは、1年ごとと四半期ごとに組織のOKRを評価して、社員に共有しています。なぜ評価を公開する必要があるのかというと、評価を次の目標設定に生かせる、企業の成長度合いを把握できるなどのメリットが得られるからです。

さらに、社員にも評価を共有すればモチベーションの向上にもつながりますし、会議の中で評価を公開すれば上司からのフィードバックや個人の振り返りなども行いやすくなります。よりコミュニケーションの活発化させられる効果も期待できるでしょう。

まとめ

OKRはGoogleでも導入されている、高い目標を達成するための目的管理フレームワークです。

GoogleのOKRでは、高い目標を設定するストレッチゴール、人事評価と結び付けないKRのスコアリング、社員同士で進捗を報告して褒め合うウィンセッションなどが重要視されています。

高い目標を設定することは、社員のモチベーション向上につながりやすいのがメリットです。また、人事評価と結び付けないようにすれば、社員がより高い目標を設定しやすくなります。ウィンセッションでは、社員同士のコミュニケーションの活発化が期待できるのが魅力です。

OKRを導入すれば、さまざまなメリットが得られるので、ぜひ記事を参考にOKRの導入を検討してみてください。

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監修者

広瀬好伸
株式会社ビーワンカレッジ 代表取締役社長

プロフィール

京都大学経済学部卒、あずさ監査法⼈にてIPO準備や銀⾏監査に従事。
起業後、公認会計⼠・税理⼠として、上場企業役員、IPO、M&A、企業再⽣、社外CFOなどを通じて600社以上の事業に関わる。

公認会計士、 IPOコンサルタント、社外役員として計4度の上場を経験。
株式会社i-plug社外役員、株式会社NATTY SWANKY社外役員。

成長スピードの早い企業におけるKPIマネジメントやファイナンス、上場準備や上場後の予算管理精度の高度化といった経験を踏まえ、KPIのスペシャリストとして、日本初のKPIマネジメント特化SaaS「Scale Cloud」の開発・提供やコンサルティングに注力。
従来のマネジメント手法を飛躍的に進化させ、企業の事業拡大に貢献中。

講演実績

株式会社セールスフォース・ドットコム、株式会社ストライク、株式会社プロネクサス、株式会社i-plug、株式会社識学、株式会社ZUU、株式会社あしたのチーム、ジャフコグループ株式会社、トビラシステムズ株式会社、株式会社琉球アスティーダスポーツクラブなどの主催セミナー、日本スタートアップ支援協会などの経営者団体、HRカンファレンスなどのカンファレンス、関西フューチャーサミットなどのスタートアップイベントなどにおける講演やピッチも実績多数。

論文

『経営指標とKPI の融合による意思決定と行動の全体最適化』(人工知能学会 知識流通ネットワーク研究会)

特許

「組織の経営指標情報を、経営判断に関する項目に細分化し、項目同士の関連性を見つけて順位付けし、経営に重要な項目を見つけ出せる経営支援システム」(特許第6842627号)

アクセラレーションプログラム

OIH(大阪イノベーションハブ)を拠点として、有限責任監査法人トーマツ大阪事務所が運営するシードアクセラレーションプログラム「OSAP」採択。

取材実績

日本経済新聞、日経産業新聞、フジサンケイビジネスアイ、週刊ダイヤモンド、Startup Times、KANSAI STARTUP NEWSなど。

著書

『飲食店経営成功バイブル 1店舗から多店舗展開 23の失敗事例から学ぶ「お金」の壁の乗り越え方』(合同フォレスト)

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