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企業のOKR導入例を5つ紹介|業種別の事例や導入方法もまとめて解説

2021.10.20
企業のOKR導入例を5つ紹介|業種別の事例や導入方法もまとめて解説

Googleやメルカリといった大企業が導入しているOKRは、目標管理方法の一つとして注目されています。では、実際にOKRを自分の会社で導入するにはどうすれば良いのでしょうか?

こちらの記事では、OKRを導入している企業の事例やOKRを取り入れることでどのようなメリットがあるのかなどを紹介していきますので、最後までご覧ください。

OKRとは

OKRとは目標管理方法の一つで、「Objectives and Key Results」を省略した言葉です。大企業であるGoogleやメルカリなどがOKRを導入し始めたことから注目されており、今では数多くの企業がOKRの導入をしています。

OKRを導入によって、その企業の部署やチームごとに目標がリンクされ、部署やチームが違っても全員が同じ目標に向かって計画を進められるのが大きなメリットです。

また、時期や年単位で目標を設定するのではなく、数カ月単位の短期間での目標を管理できることも特徴の一つとなっています。

OKRを導入することで、どこの部署やチームが目標を達成しているのか、どこが目標の達成ができなかったのかが明確になるため、目標を達成できなかった部署やチームへの教育的指導も可能です。

また、OKRはMBO、KPIとKGIと混合してしまう方も多いですが、それぞれの目標管理や達成管理の手法は異なります。

MBOは一定期間ごとに個人に対して達成すべき目標を設定することで、企業の目標達成を実現するマネジメント手法です。あくまでも、個人も自主性や自己管理に基づいて目標達成を手助けします。

KPIは、企業の目標達成の実現に向けて、各業務プロセスが適切に行われているのかを判断するために設定される指標です。

KGIは企業が最終的に達成すべき目標で、「売上高」、「営業利益率」などがあげられます。

OKRを導入している企業の事例

次に、実際にOKRを導入している企業の事例を見ていきましょう。ここでは、以下の5つの企業の事例を見ていきます。

  • Google
  • メルカリ
  • chatwork
  • intel
  • Sansan

企業ごとにOKRを導入している事例は異なりますので、これからOKRの導入を検討している方は参考にしてください。

Google

Googleでは、部署やチームごとではなく一人一人の信念や価値観に基づいてOKRを定めています

そのため、Googleの組織の上層部が一人一人のOKRの内容を把握し、定期的に雑談や目標達成するためのミーティングが開催されています。こうすることで、上司と部下の関係性が良くなり、組織として効率的にしっかりと活動することが可能です。

結果として、Googleは企業戦略や目標に対して全社員から理解を得られて、社員全員の考え方や現状を把握にもつながっています。

メルカリ

メルカリは基本的に数字や目に見えるものを評価対象としていますが、会社全体としての評価も上げたいと考えており、「Go Bold」「All for One」「Be Professional」という3つのバリューを設定することで、数字や目に見えない部分の評価も可能としました。

また、トップダウンでなく社員全員で目標に対する意思決定をしていくことを強調しており、チームまたは部署ごとのコミュニケーションツールとしてOKRを活用しているのが分かります。

chatwork

chatworkはOKRによるチャレンジを評価しているのが特徴です。具体的には、「業績評価」「行動評価」「全社業績」の3つに対して、グレード別の係数がかかっています。

業績評価にOKRを参考にした数値を入れることで、OKRを通してどれだけチャレンジすることができたかを評価することが可能です。

また、chatworkは目標評価をOKR達成率だけでなく、OKRで社員がどれだけチャレンジしたかを評価指標として組み込み、OKRをただの社員全員の評価指標ではなく個人がチャレンジするためのコミュニケーションツールとしても位置付けています。

intel

intelは最初にOKRの導入をした企業で、OKRを導入したことによって4つの成果が表れています。

  • 戦略の絞り込み
  • 目標のための連携
  • 進捗状況の共有
  • 高い目標設定

intelはOKRを導入によってさまざまな活動内容から一つの戦略に絞り、それを会社全体に共有することで経営におけるV字回復を実現しています。目標を明確化して会社全体で同じ方向に向かえば、社内の連携が取りやすくなって業務の効率化も可能です。

また、OKRを効果的に運用するためには、定期的なチェックが欠かせません。進歩状態を定期的にトラッキングして、自分や部署、チームごとに見直す機会を確保しましょう。

高い目標を設定すれば、会社全体の利益向上も見込めます。実際にintelは高い目標を立ててより力を発揮しているため、OKRで目標を設定する際には高い目標を立てるようにしてください。

Sansan

Sansanは、クラウド名刺管理サービスを運用している企業です。この企業ではOKRを導入した当初は個人単位でOKRを設定していたそうですが、現在では部署やチームごとにOKRを設定し、会社全体で成功に向かって議論する場を作っています。

OKRを使って目標を明確にして、会社全体の仕事に対してのやる気やモチベーションの向上に努めました。各部門で環境を整備してデータを可視化した結果、効率的に業務を進められるようになり、業務のスピード向上や柔軟な対応を可能としています。

【業種・職種別】OKRの具体例

ここまで、企業のOKRの事例を解説しましたが、ここからは業種・職種別のOKRの具体例を6つ紹介していきます。

  • 営業
  • 人事
  • 総務
  • 経理
  • マーケティング
  • 製造

それぞれの業種・職種ごとに紹介していくので、OKRの設定方法に迷っている人は、参考にしてみてください。

営業

【目標(O)】

・製品価値を広めて売上1,000万円を達成

【達成指標(KR)】

・新規客を増やし、売上〇〇円の確保

・既存顧客に対して売上〇〇円以上目標

・見込み客を増やし、売上〇〇円以上達成

営業の場合は、新規顧客の獲得数などを目標に設定すると良いでしょう。もちろん既存客も大切ですが、売上の向上を見込めるのは新規顧客の獲得です。

新規顧客の獲得をしないと企業の成長は見込めないため、新規顧客の獲得につながるアプローチの仕方や平均日数の確保などを指標にしてみてください。

人事

【目標(O)】

・エンゲージメントプログラムを〇月までに全従業員に実施

【達成指標(KR)】

・〇月までに全従業員向けのサーベイとヒアリングの実施

・〇月末までにエンゲージメントプログラムの戦略策定の実施

・〇月までに全従業員向けにエンゲージメントプログラムイベントを実施

人事の場合は、採用人数や人材の確保も重要ですが、採用に関わるコスト削減も重要な内容の一つです。

コストを削減するためには、採用の選考方法、面接通過率、選考日程などを考え直して、企業への理解が深い人だけに限定して募集をかけるのも良いでしょう。

企業への理解が深い人に募集をかければ、結果的にスキルや経験のある人材を集められる可能性も高いため、優秀な人材確保にもつながります。人事でOKRの設定にお悩みの方は、一つの例として参考にしてみてください。

総務

【目標(O)】

・今年度の経費を前年度よりも〇%削減

【達成指標(KR)】

・消耗品の仕入れ先の変更、前期比で10%以上削減

・業務効率化を図り、平均残業時間を1カ月10時間以内に収める

・業務マニュアルの加筆、新人研修の実施

総務は働き方改革や企業の環境向上などが求められるため、そういった部分を目標として設定すると良いです。社員の教育や残業時間の短縮、経費の削減などを指標としてみてください。そして、そのためには何をすれば良いのか、どう行動すれば結果につながるのかを考えて、指標を作成してみましょう。

経理

【目標(O)】

・業務の効率化・業務内容の改善

【達成指標(KR)】

・1週間かかっている決算業務を1日~2日短縮する

・1日かかっている業務を半日で終わるようにする

・5人でやっている月次の経理業務を3人でできるように管理する

経理の場合はルーチンワークなども多く、OKRの設定が難しいという人もいるでしょう。その場合は、目標までの工程を細かく定めて、工程で達成基準をもうけてみるのがおすすめです。また、経費削減やマニュアル作成なども目標として立てやすいため、OKRの設定にお悩みの方は、参考にしてください。

マーケティング

【目標(O)】

・市場シェアを5%拡大させるために現在抱えている顧客数を1,000人増やす

【達成指標(KR)】

・現在実施している無料トライアルの数を前期比よりも15%増加させる

・契約数を30%引き上げる

・Google広告のクリック数を前期比よりも5,000回引き上げる

マーケティングは、既存顧客定着率と新規顧客獲得率の上昇を目標に設定することをおすすめします。売上を上げるためにも、新規キャンペーンの企画・広告の設置などを検討して利益アップにつなげましょう。

また、新たな顧客獲得のためにも目標指標に顧客満足度の向上や覆面調査の点数なども有用です。

製造

【目標(O)】

・作業工程の削減

【達成指標(KR)】

・前期工程の見直し

・廃棄申請額30万円減少

・1日1回の品質確認の実行

製造職では、作業工程の削減や品質向上などが目標としてあげられます。

部署やチームごとに設定するだけで、一人一人の意識が変わって明確な目標に向かって行動できるため、OKRを設定したら社内や部署で共有しましょう。目標のために個人個人がどうやって行動すれば結果につながるのか、なども話し合えるとより良い結果が得られる可能性があります。

【組織単位別】OKRの具体例

業種・職種別の具体例の後は、組織単位別の具体例も3つご紹介します。

  • 企業全体のOKR例
  • チームのOKR例
  • 個人のOKR例

OKRを設定する際には、必ず「適切な難易度の目標を達成する」ことが重要です。難易度が高すぎる目標を設定しても、現実味がなければ意識向上は望めませんし、最初から諦めてしまう人も少なくありません。挑戦しがいがあり、達成できそうな目標を設定するようにしましょう。

企業全体のOKR例

【目標(O)】

・トップシェアの獲得

・新規ビジネスの成功

・顧客満足度の向上

【達成指標(KR)】

・前年度比売上20%増加

・利益率アップ

・リピート率の向上または新規顧客数獲得

チームのOKR例

【目標(O)】

・製品のローンチ成功

・生産性に対する従業員の意識改善

・部署ごとの従業員の満足度の向上

【達成指標(KR)】

・さまざまなマーケティング施策の導入

・ターゲットの興味喚起や認知度の向上を〇カ月までに実施

・平均残業時間の短縮

個人のOKR例

【目標(O)】

・高い専門性を持つ人材の獲得または育成

・採用コストの前年比〇%削減

【達成指標(KR)】

現在の求人内容の変更・スケジュール管理

前年度の使用コストを見直し、不必要なコスト削減の実施

OKRのメリット

OKRの導入例が分かったところで、OKRを導入するメリットについて見ていきましょう。OKRの導入をするメリットは、主に以下の3つです。

  • 企業が掲げている目標を社員に共有できる
  • 企業全体のコミュニケーションを活性化
  • タスクを明確化して無駄を省ける

一つずつ解説していくので、OKRの導入を検討している方はぜひご覧ください。

企業が掲げている目標を社員に共有できる

OKRを導入することによって、企業が掲げている目標を社員全員で共有できます。目標が不明確だと、社員は目標達成のために何をすれば良いのか分からない、そもそも目標が何なのか理解できていない、という状態も珍しくありません。

各部署やチームまたは個人ごとに明確な目標を設定すれば、自分が目標達成のために何を実施すれば良いのかが分かりやすくなります。

また、目標に対して自分はどの程度達成したのかも数値化できれば、より自分のすべき行動や業務の進め方が見えやすくなるでしょう。自分はどの程度頑張ったのか、どこを頑張れば目標達成できるのかを可視化すれば、社員のやる気やモチベーションの向上にもつながります。

企業全体のコミュニケーションを活性化

企業やチームごとにOKRを設定した場合、個人個人の意識改革のためにもその内容が共有されます。また、個人でOKRを設定した場合にもチーム全体に目標が共有され、自分と同じチームの仲間がどのような目標を立てているかも確認可能です。

目標をお互いに把握すれば、全員で一丸となって同じ意識の元で仕事ができるでしょう。自分またはチームの目標をどうしたら達成できるのか、どういう方法でやればより効率的になるか、といったコミュニケーションを取れば企業全体で協力しながら進められます。

タスクを明確化して無駄を省ける

OKRは、日々のチームの状況などの変化にも柔軟に対応できます。例えば、あらかじめOKRで一定の期間を設定すれば、短期的な目標サイクルが明確になり、業務の無駄やリスクの削減が可能です。

また、細かい期間を設定しておけば、業務が遅れた段階で「どの業務がどれくらい遅れているのか」が分かりやすくなります。業務の遅れがすぐに分かればリカバリーも簡単です。

業務がスムーズに進んでいる場合も、納期の遅れなどを心配することなく目の前にあるタスクに向かって業務を遂行できるでしょう。

まとめ

OKRは目標管理方法の一つで、intelやGoogle、メルカリなどの大企業でも導入されています。企業・部署またはチーム・個人ごとにOKRを設定すれば、企業全体で同じ方向を向きながら計画を進めることが可能です。

業種・職種ごと、組織単位ごとに設定するOKRは大きく変わるため、記事を参考にしながら設定してみてください。

OKRは、目標の共有ができる、コミュニケーションを活性化できる、タスクを明確化して無駄を省けるなど、メリットが多いのでぜひ活用してみましょう。

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監修者

広瀬好伸
株式会社ビーワンカレッジ 代表取締役社長

プロフィール

京都大学経済学部卒、あずさ監査法⼈にてIPO準備や銀⾏監査に従事。
起業後、公認会計⼠・税理⼠として、上場企業役員、IPO、M&A、企業再⽣、社外CFOなどを通じて600社以上の事業に関わる。

公認会計士、 IPOコンサルタント、社外役員として計4度の上場を経験。
株式会社i-plug社外役員、株式会社NATTY SWANKY社外役員。

成長スピードの早い企業におけるKPIマネジメントやファイナンス、上場準備や上場後の予算管理精度の高度化といった経験を踏まえ、KPIのスペシャリストとして、日本初のKPIマネジメント特化SaaS「Scale Cloud」の開発・提供やコンサルティングに注力。
従来のマネジメント手法を飛躍的に進化させ、企業の事業拡大に貢献中。

講演実績

株式会社セールスフォース・ドットコム、株式会社ストライク、株式会社プロネクサス、株式会社i-plug、株式会社識学、株式会社ZUU、株式会社あしたのチーム、ジャフコグループ株式会社、トビラシステムズ株式会社、株式会社琉球アスティーダスポーツクラブなどの主催セミナー、日本スタートアップ支援協会などの経営者団体、HRカンファレンスなどのカンファレンス、関西フューチャーサミットなどのスタートアップイベントなどにおける講演やピッチも実績多数。

論文

『経営指標とKPI の融合による意思決定と行動の全体最適化』(人工知能学会 知識流通ネットワーク研究会)

特許

「組織の経営指標情報を、経営判断に関する項目に細分化し、項目同士の関連性を見つけて順位付けし、経営に重要な項目を見つけ出せる経営支援システム」(特許第6842627号)

アクセラレーションプログラム

OIH(大阪イノベーションハブ)を拠点として、有限責任監査法人トーマツ大阪事務所が運営するシードアクセラレーションプログラム「OSAP」採択。

取材実績

日本経済新聞、日経産業新聞、フジサンケイビジネスアイ、週刊ダイヤモンド、Startup Times、KANSAI STARTUP NEWSなど。

著書

『飲食店経営成功バイブル 1店舗から多店舗展開 23の失敗事例から学ぶ「お金」の壁の乗り越え方』(合同フォレスト)

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