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100社超の調査で判明した「これからのKPI」とは?

2021.01.28
100社超の調査で判明した「これからのKPI」とは?

1.  次世代のKPI「◯◯◯◯」とは?

 

2019年、企業財務に詳しい中京大学矢部謙介教授と税務研究会・企業懇話会が、100社超の経理・財務担当者などに対して行ったアンケート調査の結果が次のとおりです。

 

まず、「いま、どんなKPIを使用しているか?」との質問に対しては、売上高や営業利益、売上高営業利益率といった基礎的な指標が並んでいます。

一方、「今後、関心のあるKPIはなにか?」との質問に対しては、トップはROIC(投下資本利益率)となっています。

 

2. 企業の稼ぐ力「ROIC」とは?

 

ではここで「ROICとは?」についてお話します。

これがROICの計算式になりますが、これを少し展開してみるとこうなります。

 

ちょっと数学っぽくなっちゃいましたね。

もっとシンプルに表現すればこういったことかなと思います。

 

近年、コロナ禍を発端とする世界的な不況が目に見えて進んでいくなかで、企業は困難なかじ取りを迫られています。

いままでに経験したこともない事業環境のなかで、生き残るためには、それを乗り越えるだけの企業としての強さを身に着けることが大切です。

 

そして、日本が直面している、少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少や働くスタイルの多様化の中で、限られた労働力で生産性を高めるなくてはならないという課題は、いまもなお残っています。

 

では、どうすればそのような困難な経済環境の中で、深刻な労働力不足を解消し、みなさまの会社の業績を飛躍的に伸ばすことができるでしょうか?

 

私たちが提案する解決策は、「稼ぎ方改革」です。

 

企業全体の生産力、つまり、企業としての「稼ぐ力」を高めてビジネス成長を加速することが、これから困難な経済環境の中で深刻な労働力不足を解消する最も重要な手段の一つだと、私たちは考えています。

 

それでは、企業の稼ぐ力って何なのかを考えてみましょう。

 

A社長とB社長は、それぞれ同じ1億円の資金を持っています。

その二人がそれぞれの事業にその資金を投下し、一年後、A社長は1.2億円、B社長は1.1億円に資金を増やしました。

 

どちらが稼ぐことができたでしょうか?

 

もちろん1億円を1.2億円に増やしたA社長のほうが、より稼ぐことができたのは明らかです。

では、もう少し、それぞれの稼ぐ力についてより詳しくみてみましょう。

 

 A社長の稼ぐ力=増えた2千万円÷事業に使った1億円×100=20%

 B社長の稼ぐ力=増えた1千万円÷事業に使った1億円×100=10%

 

この数式で求めたのは運用利回りです。

A社長は1億円を20%で運用したということですし、B社長は10%で運用したということになります。

 

より専門的な言葉でこの稼ぐ力をROIC(Return On Investment Capital,投下資本利益率)と呼び、企業が持つ資本をどれだけ稼いで増やすことができるのかという指標になります。

 

それでは、なぜ稼ぐ力が重要なのでしょうか?

 

先ほどのA社長とB社長のケースで考えてみましょう。

先ほどはもともと同じ1億円の資金を持っていることを前提に考えていましたが、もしB社長が3億円を持っていた場合、一年後二人の稼いだ金額はどのように変わるでしょうか?

 

 A社長が1年間で稼げる額=1億円×20%=2千万円

 B社長が1年間で稼げる額=3億円×10%=3千万円

 

稼ぐ力が20%とB社長より上だったA社長ですが、最初から資金力を持ったB社長のほうが、より大きな「金額」を稼ぐことができます。

確かに使えるお金が多ければ多いほど稼ぐ額は多くなる可能性が高くなります。

ただ大企業であったとしても事業に使える資金は無限にあるわけではありません。

より高い収益を稼ぐために、限られた資金を有効に使ってできるだけ多くのリターン(稼ぎ)を得ることが重要になってきます。

スタートアップや中小企業にとってはなおさらその稼ぐ力が大事です。

 

ビジネスモデルは、限られた資金をどのように増やすのか、「資金を増やすための装置」のようなものです。

このビジネスモデルの力=稼ぐ力(ROIC)を高めることが限られた資金を増やすためには不可欠であり、ROICを効率よく最大化することが重要です。

 

3.オムロンの「ROIC経営2.0」とは

 

ROICを経営に活用し、現場にもうまく落とし込んでいる代表的な企業がオムロンです。

 

オムロンでは、前述のROICの式を組み替えてツリー状に分解し、それを左右逆さまにした独自の「ROIC逆ツリー」をつくって運用しています。

出典:ROIC経営2.0

 

ROICを「営業利益率(ROS)」と「投下資本回転率」にわけるところまでは前述の数式と同じですが、営業利益率と投下資本回転率を改善ドライバーにさらに分解し、その改善ドライバーをさらにKPIに分解して、現場での日々の活動に活かしやすくしています。

 

さらには、難しい数式を使わずにもっと簡単にROICの意味を現場に理解してもらう「翻訳式」まで作成しています。

 

 

この翻訳式は、

 

① 「ムリ、ムダ、ムラ」を削って経営資源の滞留を減らしつつ、

② 「モノ、カネ、時間」など「必要な経営資源」はけちらず使うことで、

③ それ以上に「顧客に対する価値」を生み出す

 

というメッセージです。

そのメッセージを、現場で誤解が生じないように、その意義付けをうまく式に組み込んでいます。

 

さらに、同社では、

 

① 「ROIC道場」という研修を行う

② 部門別の戦略会議で討議を重ねる

 

といった施策によって、会計になじみの薄い社員一人一人の仕事とROICを結びつけようとしています。

 

企業にとって重要な「稼ぐ力」を高めるにはどうすればよいか?ということを中心に置き、堅実かつスピーディーに企業価値を高める経営を科学的に実現することが、現在の経済環境ではとても重要ではないでしょうか?

 

そのためには、短期的な売上や利益の最大化を目指すPL経営から脱却しましょう。

目先のPL数値の改善にフォーカスしすぎると「大きなビジョンを描きリスクを取って積極的に投資する」という姿勢を欠き、飛躍的な成長を実現することができません。

また、売上や利益が増えても、投資が大きすぎれば稼ぐ力は減り、投資を十分に回収できずに資金的に苦しくなります。

 

会社の過去の経営状況を正確に把握して管理するために必要な会計(財務・経理)の知識だけではなく、そこからもっとも効率よく利益を生み出すためにどのような会社の戦略を立てるか、過去の把握だけでなく、現在から将来に向けての構想や見通しもあわせて考えることが、限られた資金の中で効率的に「稼ぐ」ことができる近道だと思います。

 

執筆者

広瀬好伸
株式会社ビーワンカレッジ 代表取締役社長

プロフィール

京都大学経済学部卒、あずさ監査法⼈にてIPO準備や銀⾏監査に従事。
起業後、公認会計⼠・税理⼠として、上場企業役員、IPO、M&A、企業再⽣、社外CFOなどを通じて600社以上の事業に関わる。

公認会計士、 IPOコンサルタント、社外役員として計4度の上場を経験。
株式会社i-plug社外役員、株式会社NATTY SWANKY社外役員。

成長スピードの早い企業におけるKPIマネジメントやファイナンス、上場準備や上場後の予算管理精度の高度化といった経験を踏まえ、KPIのスペシャリストとして、日本初のKPIマネジメント特化SaaS「Scale Cloud」の開発・提供やコンサルティングに注力。
従来のマネジメント手法を飛躍的に進化させ、企業の事業拡大に貢献中。

講演実績

株式会社セールスフォース・ドットコム、株式会社ストライク、株式会社プロネクサス、株式会社i-plug、株式会社識学、株式会社ZUU、株式会社あしたのチーム、ジャフコグループ株式会社、トビラシステムズ株式会社、株式会社琉球アスティーダスポーツクラブなどの主催セミナー、日本スタートアップ支援協会などの経営者団体、HRカンファレンスなどのカンファレンス、関西フューチャーサミットなどのスタートアップイベントなどにおける講演やピッチも実績多数。

論文

『経営指標とKPI の融合による意思決定と行動の全体最適化』(人工知能学会 知識流通ネットワーク研究会)

特許

「組織の経営指標情報を、経営判断に関する項目に細分化し、項目同士の関連性を見つけて順位付けし、経営に重要な項目を見つけ出せる経営支援システム」(特許第6842627号)

アクセラレーションプログラム

OIH(大阪イノベーションハブ)を拠点として、有限責任監査法人トーマツ大阪事務所が運営するシードアクセラレーションプログラム「OSAP」採択。

取材実績

日本経済新聞、日経産業新聞、フジサンケイビジネスアイ、週刊ダイヤモンド、Startup Times、KANSAI STARTUP NEWSなど。

著書

『飲食店経営成功バイブル 1店舗から多店舗展開 23の失敗事例から学ぶ「お金」の壁の乗り越え方』(合同フォレスト)

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